帝釈天参道街並み評価 都市景観賞「特別賞」

読売新聞に掲載されました。


[[[[[[[[下記原文
帝釈天参道街並み評価 都市景観賞「特別賞」
「レトロ」な外装守る
平日でも観光客でにぎわう帝釈天の参道。看板や店構えなど、昔ながらの風情を守り続けている。 葛飾区の柴又帝釈天の参道周辺が、官民一体で景観保護に努める地域に贈られる都市景観賞大賞「美しいまちなみ賞」の特別賞に選ばれた。大型店の影響などで、都内でも多くの商店街が苦戦する中、30〜40歳代の若手商店主が中心となって、建て替え時の外装を和風に保つガイドラインを設けるなど、大正〜昭和初期の面影を残す景観を守り続けてきたことが高く評価された。(浜名恵子)
 参道の商店主でつくる「柴又神明会」が、景観保護に本腰を入れ始めたのは96年頃。その年の8月、映画「男はつらいよ」シリーズで「寅さん」を演じた渥美清さんが亡くなり、参道のにぎわいに陰りが見え始めたからだ。
 この時、山田洋次監督から「人情豊かな街並みを守れば大丈夫」とアドバイスを受け、以降、映画の撮影が始まった1960年代の街並みや、大正〜昭和初期を感じさせるレトロな参道を守ろうと努めてきた。
 2007年には、帝釈天周辺の約9ヘクタールの景観を守ることを目的としたNPO法人「柴又まちなみ協議会」を設立。都の「東京のしゃれた街並みづくり推進条例」に基づき、参道に面した建物の建て替えに関するガイドラインを策定した。高さを3階(10メートル以下)に制限したほか、屋根にひさしをつけるなど外装を和風に保つことを建築主に求めた。
 都に対する働きかけの中心となったのが、30〜40歳代の若手商店主。後継者不足に悩む商店街が多い中、柴又神明会の約50店のうち、3割ほどが家業を継いでいるという。
 その1人で、10年前に脱サラしてアメ店を継いだ宮崎修さん(42)は「大半の経営者が店の裏や2階で寝起きし、閉店後も人の息づかいが聞こえてくる温かさが、ここの良さ。それを残したい」と意欲的だ。
 若手のアイデアで、夜間に看板と軒先を淡く照らすライトアップを始めたほか、06年に始まった「柴又宵(よい)まつり」では、レトロな服装の人たちの仮装行列を開くなど、街並みを活用した取り組みを次々に打ち出した。
 柴又神明会によると、ここ5年で観光客数も90年代前半の水準に戻りつつあり、参道を訪れた群馬県安中市の主婦(60)は「懐かしい雰囲気で、道も清潔で歩きやすい。昔と変わらない良さがある」と指摘する。今回の受賞も「江戸の下町風情を活かしつつ、一貫したデザインになっている」ことが評価された。
 柴又神明会の石川宏太会長(57)は「海外の街並みは、何百年と残っている。柴又を若手とともに守り続けたい」と話している。
(2010年6月1日 読売新聞)
]]]]]]]]